アオバズクは青葉の季節に、南方から渡ってきて、毎年同じ樹洞で産卵して、誕生したヒナは、そこから巣立っていった。ところが去年は、それまで毎年使っていた樹洞は、新緑の季節が過ぎた7月に入っても空き家状態が続き、とうとうヒナの姿を見ることはできなかった。
今年あの樹洞に入居者がいれば、そろそろ抱卵の時期になっているはずで、樹洞が見える近くの枝に、見張りをしているオスの姿が見えるはずなのである。ほぼ一年ぶりに、その樹洞のある大樹に様子を見に行ってみた。
一昨年までは、その大樹の前の空き地には、いくつもの三脚が並んで、辛抱強くシャッターチャンスを狙っている何人ものカメラマンの姿があった。彼らの足によって踏み固められていたその場所には、今は雑草が生い茂っていた。
いつぞやの大雨でくずれた崖は、修復されて竹を育てているとかで、立ち入り禁止になっていた。