鳥はねぐらへ
昨日は寒波が居座ったせいで寒い一日だった。さすがに駐車している車の数は少なかった。
厚着をしているとはいえ、川っぺりは一段と寒風が身にしみる。月の出は16時56分、先刻から待っているのだけれど、その時刻はとっくに過ぎているのに、満月はまだ姿を現してくれない。先刻まで止まっていた車は、いつの間にか消えてしまっていた。
目の前は鹿島川、その川面をいくつもの黒い影が、印旛沼へ向かって西へと泳いで行く。体は小さい。くちばしが黄色で、体は闇に吸い込まれそうな色だった。ねぐらへと帰って行くのだろうか。
その一群に交じって、白い大きな塊が目の前を通り過ぎてゆく。白鳥だった。たぶんコブちゃんなんだろう。コブちゃんもねぐらを目指しているのだろう。ちらっとこちらに視線を送ったように見えたが、そのまま通り過ぎて行ってしまった。
コブちゃんが闇の中に消えるのと同時に、満月の顔がちょっと見え始めたのだった。