櫻坂46遠藤光莉さん休養宣言と「櫻エイト」について
櫻坂46の遠藤光莉さんが、活動を休止して休養することになった。
【遠藤光莉 休養のお知らせ】
(Seed & Flower合同会社)
公式ブログには、「#58 お休みのお知らせ」がアップされ(2022/09/06 15:55)、その直後、購読者向けトークにも、しばらく療養に専念したい旨が記されたメッセージが届いた。
ブログには、スタッフ・医師と相談の結果、『体調不良のためしばらくの間休養させていただくことになりました』と記されていた。体調不良の状態・原因については、プライバシーに関わる面もあるので、はっきりとは触れていなかったが、『とってもとっても長い間悩んで』とあるように、体調不良の兆候はかなり前から見受けられていた。
櫻坂46の冠番組「そこ曲がったら、櫻坂?」に出演しないことが繰り返されていて、回によっては遠藤さんだけが不参加ということもあった。オンライン形式のミート&グリート(個別トーク会)も体調不良により欠席が重なった。8月19・20日に開催された「W-KEYAKI FES.2022振り替え公演」も、体調不良という理由で出演曲数が少なくなってしまっていた。
こんな具合に体調不良による欠席が続いていたので、もう思い切って休養した方がいいのではないだろうか、と思っていた矢先の休養宣言だった。同じように思っている人も多かったのだろう、ハッシュタグ「#遠藤光莉」や「#hikarintalk」をつけた投稿がツイッター上にあふれた。多くは『ゆっくりしっかり療養してください』『復帰するのをいつまでも待っています』といった内容のメッセージだった。
さて、何が遠藤さんを休養せざるを得ないところまで追い込んだのだろうか。ただ「体調不良のため」という言葉が繰り返されているだけだから、その具体的理由は推察するより仕方がないが、ブログに書かれている『ここまで踏ん張って来れました』という箇所、その中の特に『踏ん張って』という言葉選びに注目してみたい。「頑張って」ではなくて、『踏ん張って』なのだ。遠藤さんは、言葉選びを慎重にしているという印象があるので、この『踏ん張って』もよく考えた末に選んだ言葉のような気がする。
「踏ん張る」について、学研国語大辞典では以下のように説明している。
1.(大きく)開いた足に力を入れてからだを支え、倒れまいとしてこらえる。
2.(土壇場で)気力をだしてこらえる。
休養宣言を出すまでの遠藤さんは、まさに『踏ん張って』いた状態で、相撲で言えば徳俵に片足を掛け、体を弓なりにのけぞらせて必死でこらえていた、しかしとうとう力尽きて土俵を割ってしまった、ということなのだろう。
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さて、櫻坂46には「櫻エイト」という選抜メンバーを選ぶシステムがある。櫻坂46のファーストシングルの「Nobody's fault」から採用され、14人がこの表題曲に参加して、カップリング曲の全ての楽曲にも参加するとされた。14人構成のフォーメーションは、1・2列目が8人、3列目が6人となる。1・2列目の8人が「櫻エイト」と呼ばれ、構成メンバーは固定されている。すべての楽曲に「櫻エイト」は参加するが、3列目メンバーは楽曲によって異なってくる。セカンドシングル以降も、櫻エイトの構成メンバーに多少の出入りはあるが、基本的にこのシステムが採用されている。
このフォーメーションについて運営側は公式サイトで『欅坂46の頃からも大切にしていた、"全員で楽曲を届ける"という想いを込めた編成』などとコメントしている。しかし当初からこの編成システムに懸念を示す声もあり、実際にその欠陥が顕在化して、現実のものとなってしまうのだった。
歌番組で披露されるのは、ほとんどが表題曲、それをパフォーマンスするのは14人だけ、残りのメンバーはいつも蚊帳の外ということになってしまう。これが現実で、『全員で楽曲を届ける』という理想は早くも破綻してしまう。
またカップリング曲でさえ、センターは「櫻エイト」の中から選ばれる。そのため、不都合なことが生じてくる。たとえば、セカンドシングル「BAN」のカップリング曲「それが愛なのね」は、かなり大人っぽい内容の歌なのだが、それを十代の最年少のメンバーがセンターをつとめるということになってしまう。
脚光を浴びるのは一部の人たちだけ、努力しても努力しても報われることもあまりなく…もし自分が同じような状況に置かれたとしたら、ほんとうにグループのメンバーなんだろうか、自分の存在意義はあるのだろうかなどと思い悩み、どんどん自分を追い詰めていくことになってしまうかもしれない、そんな様々なマイナス思考が頭の中に渦巻いてくる。
大所帯のグループとなれば、もちろん選抜システムというものは必要なのだろう。ただその場合でも、選抜から漏れたメンバーをケアーする方策を同時に用意しておくことは重要なことであるはずだ。現に乃木坂46にも選抜システムはあって、選から漏れたメンバーをアンダーと呼ぶそうだが、彼女たちをバックアップする手段は手厚く用意されているそうだ。
遠藤光莉さんは、「櫻エイト」という選抜システムの理不尽さに悩まされ、必死でモチベーションを保とうと悪戦苦闘しているうちに、高いポテンシャルを有していながら、それを生かすことができなかった。
この責はどこが負うべきなのだろうか。責められるべきは、欠陥が露呈しているこのような選抜方法を、改善もせずに使い続けてきた運営側にあると言わざるを得ない。
最後に、親愛なる遠藤光莉さん、キレッキレのダンスパフォーマンスを観たり、ちょっとハスキーな歌声が聴けるようになったりするまで、気長に待っていることにします。