遠藤光莉さんは亜麻色の髪?

「ひかりん」こと櫻坂46の遠藤光莉さんの言によれば、「髪染めてる?」とよくきかれるそうだ。光が当たると茶髪っぽく見えるから、ということのようだ。その言の通り、光が当たって茶色に見える写真があって、それを見たのだろう、ツイッターに「髪を染めた?」というような投稿をした人もいた。それを意識して、上記のように語ったのかもしれない。

 

「髪染めてる?」とよくきかれるということだから、勝手な想像だが、そのことでイヤな思いをしたことがあったのかもしれない。むかし校則の厳しい学校では、もともと天パだったり、茶髪っぽい色の生徒には、自分本来の地毛であるという証明書を持たせたことがあったとか…今もあるのかもしれないけれど。

 

遠藤さんの髪の毛の色から、ふと、「亜麻色の髪の乙女」という曲がヒットしたことを思い出した。「亜麻色」という色を正確には知らなかったが、いつの間にか、茶色味がかって見えるという髪の毛のイメージが作られていたのかもしれない。

 

「亜麻色の髪の乙女」は、ビレッジ・シンガーズというグループが1968年に発表した曲で、その後2002年に島谷ひとみさんがリバイバルヒットさせた。

 

 亜麻色の髪の乙女ヴィレッジ・シンガーズ (YouTube)

 ヴィレッジ・シンガーズ 「亜麻色の髪の乙女」 02年(YouTube)

 

 島谷ひとみ / 「亜麻色の髪の乙女」

【OFFICIAL MV FULL SIZE】(YouTube)

(作詞:橋本淳 作曲:すぎやまこういち)

 

茜色はアカネの根から、藍色は藍の葉から染料をつくるということは広く知られているが、亜麻色も同様に亜麻の茎から作られるということだ。違う点は、亜麻色が英語名「flax」を訳した色ということで、つまり日本の伝統色ではなく、西洋由来の色ということだ。

 

西洋に目を転じてみれば、フランスの作曲家ドビュッシーに「亜麻色の髪の乙女」と題された曲がある。この曲を聴く時、西洋の人はどういう髪色を想像していたのだろうか。それは西洋の女性に多い髪色だった、それが亜麻色だった。

 

 ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女(前奏曲集)(YouTube)

 

西洋の亜麻色がどういった色なのかは、絵画に描かれた女性の髪の色を確かめてみれば、ある程度つかむことができるのではないだろうか。そこでまず思い出すのは、ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」、以前ブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)で観たことがあった。

 

Pierre-Auguste Renoir, 1880, Portrait of Mademoiselle Irene Cahen d'Anvers, Sammlung E.G. Buhrle

(出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

 

西洋人がイメージする亜麻色は、この『可愛いイレーヌ』とも呼ばれる少女の髪色なのだろうか、もうちょっと明るい色のような気もするが…

 

パソコンで色を表すにはRGBの三原色を用いる。それでは亜麻色をRGBで表すとどんな色になるのだろうか。誰がこのコードを亜麻色に当てはめたのかは知らないが、とりあえずこのコードを用いて、フォトショップで亜麻色をつくってみた。

 

 RGB(sRGB)
  Red : 211
  Green : 189
  Blue : 159

 (16進カラードード:#d3bd9f)

 

 

こんな色なんだ。金髪ではないし、栗色を明るくした感じかな。誰がどう決めたコードか分からないが、こうやって実際に色がつくられてしまうと、今度は逆にこの色が亜麻色と決めつけられてしまいそうで、それはそれでいかがなものかと思ってしまう。

 

ともかく西洋の人たちがイメージする亜麻色は、この色の近辺にあるということなのだろう。ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」はこんな髪色だったのかな。

 

それではヴィレッジ・シンガーズが歌うところの「亜麻色の髪の乙女」はどんな髪色をイメージしているのだろうか。それは作詞した橋本淳さんにきいてみないと分からないけれど、とりあえずここでは、遠藤光莉さんの髪のように、光を受けてちょっとRGBコード#d3bd9の近似色に変化する髪色をイメージしておくことにしようか…。

 

 『亜麻色の長い髪を 風がやさしくつつむ …… 』

 (作詞:橋本淳)

2022年01月28日|エンタメ:エンタメ