ヒナがいた辺りには、「立ち入り禁止」のテープが張り巡らされていた。昨日、竹藪の中にいたヒナを撮影していたとき、警備員さんが見回りに来ていて、ガケに近づいている人もいたから危険と思って立ち入り禁止線を設けたのかもしれなかった。
昨日のヒナは、木の上ではなく地上にいた。
近くにいた人によると、親鳥がエサを運んできてくれて、それを食べている時に、エサとともに地面に落ちてしまった、ということのようだった。お尻だけが見えていたが、しばらくするとヤブの中に入ってしまって姿が見えなくなった。
この場所はヘビの縄張りらしくて、こんな注意書きも設置されている。ヘビの餌食にならなければよいのだが。
そのうちまたこの場所に姿を現すかもしれないと思って、ベンチに座って待っていると、男の人が近づいてきて、立ち入り禁止のテープを取り外し始めた。
「公園管理の方ですか」
と訊くと、
「いえいえ、ただの野鳥好きの人間です」
不審に思っていると、
「管理事務所に頼んで、このテープを借りてきたんです」
「ヒナを守るためだったんですね」
「ええ、人が多かったから。下の方でヒナが出ていますよ」
と教えてくれた。
例の樹洞では二羽目(たぶん)のヒナが姿を現した。ここ何年かは、毎年三羽のヒナが生まれているらしい。当方が確認できたのは、これで二羽目だが、それ以前に巣立ったヒナがいなければ、樹洞の中にはまだ一羽が残っているのだろうか。
親鳥をやっととらえることができた。