岡本太郎「明日の神話」

渋谷駅に、岡本太郎作の巨大な壁画が展示されている。その壁画「明日の神話」がそこに設置されたいきさつは知らなくても、一度でも目にしたことのある人は多いのではないかと思う。かく言う私も、岡本太郎美術館に行くまでは知らなかった。

 

 

その壁画「明日の神話」が、岡本太郎美術館にも展示されていた。もっとも渋谷のものに比べるとかなり小さくて、こちらがオリジナルで渋谷のものはレプリカかもしれないな、などと今思えば馬鹿げたことを想像してしまったのだった。

 

近くにいたスタッフの方に訊いてみた。

「ちょっとお訊きしてもいいでしょうか。渋谷駅にも、この壁画と同じものが展示されていますが、どちらが本物なんでしょうか」

「どちらも本物です」

「どちらも本物?」

そのスタッフの説明によれば、今目の前に展示されている画は下書きで、それを元に実際に展示する大きさで制作されたものが渋谷駅に設置されているということだった。

「こちらは、横幅10メートル、渋谷は30メートルです」

「二つがまったく同じということではなく、細部では異なっている部分もあります。たとえば、向かって右下の部分は、展示の仕方の都合で違っています」

 

 

岡本太郎美術館では、企画展は撮影不可だったが、常設展は営利を目的としない個人利用などのルールはあるが、撮影可だった。

 

(下の写真の左が岡本太郎美術館、右が渋谷駅)

 

この壁画は、遠洋マグロ漁船の第五福竜丸が、ビキニ環礁で行われたアメリカ軍の水素爆弾実験により発生した多量の放射性降下物(死の灰)を浴びた事件をモチーフとしている。

 

また、もともとはメキシコのホテルから依頼されて制作したのであるガ、ホテルが開業できず、展示されることなく行方不明となっていたそうだ。

 

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岡本太郎の傑作『明日の神話』は、なぜ東京の「渋谷駅」に展示されているのか?

 

2021年12月15日