新型コロナウィルスとワクチンについて(2)
このように新しい変異株が出現すると、それに対応したワクチンが開発される。しかし新型コロナの方は、そのワクチンによって形成された免疫をすり抜けるためにさらに変異する。すると、その変異に対応する新しいワクチンがまた開発される。これではイタチごっこではないか、コロナウィルスが変異を続ける限り、いつまでもワクチンを打ち続けなければならないことになる。言い換えると、ワクチンを打ち続ければ、ウィルスはいつまでも変異を続ける。
では新型コロナウィルスは、どうして変異を繰り返すのだろうか。専門家ではないので、細かい点は省いて整理してみることにする。
ウィルスは遺伝子構造に基づいて分類すると、DNAウイルスとRNAウイルスとに大別できるそうだ。
ウィルス DNAウイルス
RNAウイルス
DNAウイルスが安定した構造を持つのに対し、RNAウイルスは不安定な構造を持つ。この不安定性は、実はウィルスが生き延びていくために有利に働く。この不安定性ということを、柔軟性という言葉に置き換えてみると分かりやすい。RNAウイルスは、状況の変化に柔軟に対応していくことができるのだ。そして柔軟に対応することで、結果として変異が起きるというわけだ。
つまりRNAウイルスは、もともと変異しやすいという性質を有しているのだ。そしてワクチンによって形成された免疫を、変異することによってすり抜けてしまう。
DNAウイルスの例
天然痘ウイルス
アデノウイルス
B型肝炎ウイルス
など
RNAウイルスの例
インフルエンザウイルス
ノロウイルス
風疹ウイルス
エボラウイルス
日本脳炎ウイルス
コロナウイルス
など
唯一人間界から根絶することができた天然痘ウイルスは、DNAウイルスに属している。そして変異を繰り返すコロナウイルスは、RNAウイルスに属しているのである。従ってRNAウイルスである新型コロナウィルスは、ワクチンを打ち続ければいつまでも変異を続ける。この悪い連鎖を連鎖を断ち切るためには、どうしたらよいのだろうか。
考えられる方法は二つ、一つは新型コロナウィルスを根絶すること、もう一つはワクチン接種をやめることである。
前者については、以前中国で行われていたの零コロナ政策を思い浮かべれば良いだろう。そして、その政策はすでに水泡に帰している。また根絶に成功したウイルス感染症は、人間に寄生するものとしては天然痘だけであることを考え合わせれば、現時点で新型コロナウィルスを根絶することは困難であると言わざるを得ない。
後者についてはどうだろうか。現在広く接種が行われているのは、mRNAワクチンである。その接種をやめたとしても、はたしてワクチン接種以外に、感染を防ぐ有効な手立てはあるのだろうか。感染を防ぐことができなくても、インフルエンザ治療にタミフルなどの特効薬があるように、新型コロナウィルスについても特効薬があればいいのだが、現時点では特効薬と呼べる治療薬はない。
なお現在国内で接種可能なワクチンは、上記のmRNAワクチン以外に、組み換えタンパクワクチンの武田社製(ノババックス)ワクチンがある。
ワクチンについて(厚生労働省)