ハチの巣が見つかったのは、6月中旬の頃だった。そのことについては、すでにこのブログで扱ったのだが、その後思いがけない展開となったので、そのことについて書いてみようと思う。
まずは、もう一度その巣の写真を載せておくことにする。
徳利を逆さにしたような形状の巣だった。「コガタスズメバチ」の巣であることは分かったが、凶暴なハチではないらしいということで、しばらく様子を見ることにしたのだった。
それから10日ほど経って、例の巣の下あたりで夫人がハチの死骸を見つけた。トックリ型巣の持ち主が、ひょっとして何かの争いに巻き込まれて命を落としてしまったのだろうか。そして巣は、壊れて大きな穴があいていた。
ハチの巣のことは、そのままほったらかして、すっかり忘れて一ヶ月近くが経ったある日、ダイニングの北向きの窓を開けて唖然とした。ほったらかしていたハチの巣が、すっかり姿を変えて、少しいびつな円形になっていたのだ。
このような形の巣を作る蜂は心当たりがあった。あのトックリ型の巣について調べたとき、オオスズメバチの巣がこんな形だったのだ。網戸を開けようとしてガタガタと音を立てたら、大きなハチが姿を現した。
姿が見えたハチは、最初は一匹だけだった。それが女王蜂だったのだろう、たぶん。一日中せっせセッセと巣作りに励み、あれよあれよという間に巣はどんどん大きくなっていった。そのうちに巣作りの作業をするハチは2匹・3匹になり、どんどん大きくなっていった。
このまま放っておくと、巣はどんどん巨大化して、たくさんのスズメバチが生まれ育ってしまう。手が付けられなくなる前に、駆除した方がよいだろう。相手はオオスズメバチだけれど、さいわい巣は網戸からすぐ近くの所にある。そこで網戸越しに殺虫剤を吹きかけてみることにした。
外にいたハチは、殺虫剤を吹きかけるとサッと逃げていくが、しばらくするとまた別のハチが巣の中から出てくる。巣の中にはどれだけのハチがいるのだろうか。そんなことの繰り返しではラチがあかないので、巣の横っ腹に穴を開けて、そこから中に殺虫剤の吹き込んでみることにした。
穴を開けると、「オヤ、なんだ!」、という感じで外の様子をうかがい始めた。そこですかさず殺虫剤を吹きかける。ビックリして中に引っ込む。穴をねらってさらに繰り返し噴霧する。数匹の大きなスズメバチが、ゾロゾロと巣穴から出てきて、飛び去っていた。中からガサゴソとうごめく音が聞こえてきた。そして静かになった。
数日間巣の様子を見ていたが、飛び去っていったハチが戻ってくることもなく、巣の外に姿を現すハチもなく、中から音も聞こえることはなかった。
念には念を入れて、さらに数日経ってからいよいよ巣を取り除くことにした。巣本体は割り箸のようなもので突けばすぐに壊れてしまうが、窓の面格子とつながっている部分は、かなり強固に張り付いていて、鋭利な刃物で切り落とさなければならなかった。
切り離した巣は虫取り網で受け止め、ダンボール箱に移して写真を撮っておいた。